黄色い小さな菜の花の仲間。とは関係なく一 香の生存確認所ですが、瀕死が多いと思われます(汗)
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一回目は実技テストだったので、絶対手が震える!とみんなに宣言して回ってましたが、まあ実際は震えないだろうなあと思っていたところ。
やっぱり震えなかった。
あーよかった。
いや震えるとしたら足だろうと思ってただけなんですが。
バタバタしててあまり緊張する余裕もなく。
80分の短さと、我が研究室の素敵な先生のすばらしさを実感して幕を閉じました。
待機場所にいた先生のおかげで緊張がほぐれたというか、なごんだというか。
いやもうとにかく先生ありがとう!愛してます!奥さんとお幸せに!!
ところで11月ぐらいに書いた小話が発掘されました。
その後を書く気がまったくないというなんとも不親切な感じなのでここに放置して終わりたいと思います。
…………あんまり時間があきすぎてどういう設定だったか忘れたというorz
「結婚しようか」
プロポーズの言葉というのは大切だ。
今後の一生がかかっているかもしれない言葉なのだから。
だから、言葉を選ぶし緊張する。
頷いてくれたら、頷いてくれなかったらと期待と不安で一杯になるのも当然のことだ。
その一言を心待ちにしている人もいるだろう。
あえて避けたい人もいるかもしれない。
持つ感情は人それぞれだ。
だが、これはさすがにあんまりじゃないかとルルーシュは唖然としたといえばいいのだろうか。呆れて眉を寄せた。
「誰と」
結婚しようか。
その、プロポーズのような言葉が真の意味のプロポーズでないことぐらい、ルルーシュにだってわかる。
いや、プロポーズであったらおかしいのだ。
シチュエーションがなどと生ぬるい問題ではなく、心が籠もってないだとか文句をつける以前の問題で。
「眉間に皺よってるよ」
つんつんと額を突っつく男は一見無邪気に見えるが、それはもう最悪な奴なのだとルルーシュは知っている。
なんといっても幼なじみだ。
知りたくないことまで知っている。
例えば可愛い彼女のことも。
例えば美人な浮気相手のことも。
例えばルルーシュのことなんかなんとも思ってないことだって。
知っているのだ。
確たる事実として。
ドジと呆れられた幼年期。
暴言どころか暴力もふるわれた少年期。
ブスと罵られた思春期。
本当に可愛くないよねとしみじみ、だからこそ最上級に貶された………これは最近か。
それでもいうほど仲は悪くないのだろう。
でなければずるずると腐れ縁とはいえ続くはずがない。
大学に入ってまで無償のテスト対策など妹たち以外でここまでやってやるのはスザクだからだ。
彼女のいる男に料理を作ってやるなんて愚かとしか言い様がないが、縋られれば仕方がないななんて思う。
暴言とはいってもそこに大した悪意がないことは知っている。兄弟喧嘩のようなものだ。
正直に言おう。
ルルーシュは、体力馬鹿で女癖が悪く考えなしで空気の読めないスザクが、嫌いじゃない。
いや嘘だ。
これは嘘だ。
ルルーシュはスザクが、好きだ。
好きなのだ。
それが問題なのだ。
友達として好きだ
家族のように好きだ
恋愛感情として好きだ
1つめも2つめももちろんあるが、3つめに気づいたとき、ルルーシュは身動きがとれなくなった。
スザクなんかにブスと言われたぐらいで髪を切り化粧品をそろえ服を買いに行った自分にこそ落ち込んだものだ。結局どれも使うことはなかったが
しかしそれも多感な思春期の時代のこと。
二十歳も過ぎてこのままぬるま湯のような関係に浸っていようと自嘲ぎみに決めた2人の関係が、だから冒頭のような台詞がでるような関係でないことだけははっきりしている。
それにだ。
こんな緊張感の一切ないプロポーズがあるだろうか。
こんなにも期待も不安もない受け手がいるだろうか
「ねえルルーシュ」
ルルーシュの眉間の皺をのばしながら返事はと訊くこの男は一体何を考えているのだと思えば皺がさらに深くなった。
「だから誰とだ」
絞り出すような声は、期待ではない。そこまで落ちぶれても耄碌してもいない。
プロポーズなどではなくなくそう、たとえばただの相談だとか、決意宣言だとか、そうであれと切に願うが故だ。
なのに。
「ここに君以外の誰がいるの」
目の前の男はぬけぬけと言い放った。
「お前は…………阿呆か?」
否と、即断する以外に何ができたろう。
嬉しいと言って抱きつく?
馬鹿らしい。
傷付くのはルルーシュだとわかりきっているではないか。
何を考えてスザクがこんなことを言い出したのか、候補はいくつかあるがいずれも禄でもないものばかりだ。
「馬鹿か? 宇宙人なのか?」
激昂するのも馬鹿らしく、ルルーシュはスザクの手を振り払った。
「まあ地球に生まれた限り宇宙人ではあるけど。だってルルーシュ、僕らが結婚するのが一番いいと思うんだ」
スザクがあくまで真剣なのがまた腹立たしい。
「彼女はどうした」
「別れるよ。流石に僕だって彼女と結婚したいなんてガキみたいな駄々をこねる気はないよ。今時家柄がどうのなんて下らないとしか思えないけど、ここでそんなこと言ってたって意味ないし、彼女も僕も不幸になるだけ。まあそこまで執着してないっていうのも理由かなあ。その点ルルーシュなら丁度いいでしょ」
軽く言い放つスザクの無神経な言葉に殺意を覚えたのは初めてではないが、さすがに今度こそ首でも絞めてやろうかと本気で考えかけた
「俺が不幸になるのはいいのか」
「ルルーシュは不幸にならないよ」
例えば、そのあとに『俺が幸せにするから』だとか続いていればもしかしたら情けなくもルルーシュの心は揺れてしまっていたかもしれない。
「父さんも母さんもルルーシュなら賛成するだろうし、社交だって場慣れしてる。潰れる理由がないじゃないか。むしろ似合ってるんじゃない?」
「俺に政治家の妻になれと? それとも秘書か? つまりはお前が楽したいだけじゃないか」
「僕馬鹿だからさ。この大学に入れたのも、どうにか進級できてるのもルルーシュがいるからだよ」
肩をすくめて見せる男にくらくらとめまいを覚えた。
「威張るな馬鹿者が。内助の功などごめんだな。俺は、やるならトップになる」
ピシッと指をつきつけてキメた。
つもりのルルーシュにスザクは機嫌良く笑った。
場違いなそれにルルーシュの指も折れる。
「じゃあ尚更都合がいいじゃない。あっちには帰る気ないんでしょ? 日本はいくら国籍とったって、排他的な国だからこの国で実権を握るのはルルーシュには不利だよ。未だに女性の首相もでてない。枢木の名前は、強いよルルーシュ。ファーストレディは魅力的だろ?」
お買い得だと悪魔が囁く。
「僕と結婚すればもれなく日本国籍つき」
……………………おいしい。確かにおいしい。
おいしいが…………いやでも本当においしい。
だが、本格的に揺れはじめたルルーシュを現実に引き戻したのはスザクの次の言葉だったいうのだから泣ける。
「それにこのままだと僕、神楽耶と結婚するはめになっちゃうよ。それだけは阻止しないと」
一度でも揺れてしまった自分によりも、詰めの甘すぎる幼なじみの阿呆さぐあいに泣けた。
その言葉に、ピシリと固まったルルーシュに、拳を握りしめるスザクは気付いただろうか。
危ない。
危なかった。
あやうく悪魔の囁きに乗ってしまうところだったではないか。
思い出せルルーシュ。
布団をかぶって泣き通した夜を。
あの日は確か、スザクが初めて彼女ができたと至極嬉しそうに告げてきた日だ。
ああ、だがそのベッドからルルーシュを引きずり出したのもスザクだった。
自分のせいだとは欠片も思わず犯人は誰だと騒ぐ様子に幼なじみでいようと心に決めた。
その後すぐに彼女と別れて、さらにその思いは強くなった。
一番じゃなくていい。ずっとでいられるほうがいいと。
その思いをスザクは知らないとはいえ、結婚しようは、酷い。
ルルーシュのことなど愛せないくせに――好意は否定しないがそれは質が違う。色が違う。
同じ重さの思いなど現実的にありえるものではないけれど、あまりにもかけ離れたそれはさすがに辛い。
見かけだけでも手に入れたら幸せか?
紛い物でも錯角でも、それが欲しいか。
今以上に辛くなるとわかっていてなお手を伸ばしたいか。
さすがに否だ。
近づけば欲しくなる。
絶対に手に入らないものに、恥も外分もなく手を伸ばしてしまう。
自分の首を絞めるだけではないか。
都合のいい女。
言外の暴言は過去最高レベルを記録した。
だからルルーシュは明らかな嘲笑でもって応じてやった。
一瞬でも血迷った愚かでどうしようもない自分への嘲笑だ。
「断る」
「なんで?」
不思議そうな顔に、この傲慢な男はルルーシュを何だと思っているのだろうかといっそ不思議に思った――もはやどうおもっているかという疑問を超越してしまった。尊厳の保証された一個人と認識されているのか。
「確かにお前との結婚には惹かれる旨味があるのは事実だ。共同生活はそれなりにうまく行くだろう。明らかに俺の負担の方が大きそうだがそこら辺は今更だから今は追求しないでおこう。だが、よく考えろ。お前忘れてないか? 結婚だぞ? 夫婦だぞ?」
即ち。
「子供はどうする」
「つくる」
迷いのない答えをありがとう。
やれば出来るという確たる保証はないわけだが。
それは置いておいて、子供は必要だ。
というか、少なくとも子をなせというのが枢木家の総意ではあるはずだ――子供が出来なかったらネチネチ言われるんだろうか。
「それは何? 僕の子は愛せないって話?」
スザクの顔も険しくなった。
「そうじゃない。そうじゃなくてスザク、いいか? 子供はキャベツ畑からはこないんだからな?」
「なんでキャベ………いや、どうでもいいや。さすがに成人してそんなこと言ってたら頭おかしいと思うけど。何が言いたいのかはっきり言ってくれないかな」
「ならはっきり言おう。俺はお前と、夫婦の営みをする気が、ない」
ゆっくり、言葉を区切りながら駄々をこねる子供に言い聞かすように、何より己に言い聞かすために言い切ったルルーシュに、スザクは一度大きく目を見張り、それから何かを考えるように俯いた。。
「そう」
セックスは出来ない。
したくない。
何故なら、好きだと言って、すがりつかない自信がないから。
そんな危険は犯せない。
自分だけ好きだったなんてバレたらきっともう傍にいられない。
「わかった」
それはどうしても譲れないのだというのに、常と違う、静かな了承がまるで喉にささった魚の骨のようにいつまでもチクチクとルルーシュを苛んだ。
この一言のことを思い出しては後悔の念に襲われるなどどうしてこの時のルルーシュが想像できたろう。
翌日、可愛い妹の言葉に、ルルーシュは息が止まった。
「ルルーシュ、わたしスザクと結婚することにしたわ」
目の前が真っ黒に染まった。
絶望の色を知った。
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